大会長ご挨拶

 この度平成30年3月16-18日に埼玉県さいたま市の大宮ソニックシティ(SONIC CITY)において日本医工学治療学会第34回学術大会を開催させて頂く事になり、身に余る光栄な事と感じています。

 近年の医療は目覚ましく進歩しており、その根本に医療と工学技術の連携が強く影響している事は誰もが実感しています。初期には超音波、レントゲンなど診断技術に関連する医療工学の技術が、最近では内視鏡、カテーテル技術、さらに手術機器等治療においても重要な役割を占め、その進歩はこれまでの医療の概念を大きく変化させています。腹腔鏡手術やダビンチ等の進歩により手術技術は大きな変化を遂げ、さらにロボット工学、インターベンション技術等の進歩は今後も大きく治療方法の変化をもたらすものと期待されています。さらに今後はAI(Artificial Intelligence)、さらにIT(Information Technology)等の進歩により、医療そのものが大きく変わって行く可能性も議論されています。医療工学は、現代医療の進歩になくてはならないものであり、今後の医療の進歩に最も重要な地位を占めているといえます。このような時勢を背景にして、医工学治療についての知識・技術開発の相互啓発を主な目的として、医工学治療研究会が生まれ、その後1995年に会員数が増加したのを契機に日本医工学治療学会として再発足しました。_本学会では、医工学技術をどのように診断や治療に応用するかということを共通の命題とする各技術の交流によって相互刺激効果の生じることも期待されています。

 今回、私どもの第34回学術大会ではテーマを「高齢者社会に向けた医工学連携」としました。現代の社会の高齢化にあわせて医療と工学がどのように社会と連携をして行くのか、そしてどのような可能性を秘めているのかを議論し、明るい未来に向けた提言ができれば、と考えています。そのためAI、IT、さらにロボット工学等も含めたシンポジウム、さらに産学連携などもテーマに挙げて行きます。また高齢化社会をふまえて、終末期医療、在宅医療等も一緒に考えて行きたいと思っています。

 埼玉県は人口730万人、「彩の国」と言われ河川が多く、色彩豊かな自然にも恵まれています。今回の会場となる大宮は、2001年5月1日に、大合併により浦和市、与野市と合併し、さいたま市の一部となりました。東京からJRで30分、新幹線でわずか15分、人口129万の政令指定都市です。関東地方有数の交通の要衝であり、近くには観光の名所である川越、秩父を控えています。「大宮」という地名は、中世より武蔵国一宮とも称されるようになった氷川神社の門前町として栄えたことに由来しています。東京駅や羽田空港からの交通の便も良く日本医工学治療学会第34回学術大会を開催するには最適の環境を整えています。この「彩の国」の「埼玉」の地において、多くの皆様と日本医工学治療学会第34回学術大会の場で熱い議論をできること、楽しみにしております。多くの皆様のご参加を、心よりお待ちしております。

日本医工学治療学会第34回学術大会 大会長
中元 秀友 
埼玉医科大学病院副院長
総合診療内科教授