大会長挨拶
平素より格別のご高配を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
顎口腔領域には、歯の組織に関連する歯原性腫瘍を含む多くのタイプの腫瘍が発生します。口腔は摂食、嚥下、会話、呼吸などの重要な機能とともに、顔面に位置することから審美や尊厳において重要な役割を担っており、そこに発生する口腔腫瘍の治療は多くの課題を抱えています。その課題を解決するためには、口腔の専門家(歯科・口腔外科医、口腔病理医、歯科放射線医など)の役割は重要であり、口腔腫瘍学会は、これら口腔の専門家が一堂に会するとともに、関連する医師(形成外科医、放射線科医、頭頸部外科医、耳鼻咽喉科医、腫瘍内科医など)、医療スタッフ(歯科衛生士、看護師、言語聴覚士、歯科技工士など)、製薬会社、医療機器メーカーが参加して、口腔腫瘍に関する研究、医療、人材育成を推進する場として、大きな役割を果たしています。
この度、第39回日本口腔腫瘍学会総会・学術大会を信州大学の主幹で開催させて頂くこととなりました。大会テーマは、“「口腔がん わかっていること わからないこと」 −既知の世界と未知への扉−”といたしました。目的は、口腔腫瘍の大部分を占める口腔がんに関して、現在までにわかっているエビデンスを皆さんで確認することです。これは、専門家が初心に返って「わかっていること」を確認するとともに、口腔がんを知らない方にも、今回の学会に参加して頂くことで、短時間で「口腔がん」(既知のエビデンス、これまでの先人の成果)を知って頂いて、口腔がんの扉を開く機会になればと願っています。もうひとつの目的は、既知を確認した上で、口腔がん研究・治療で解決すべき課題(「わからないこと、知りたいこと」)を明らかにすることです。口腔がんは希少がんに数えられています。明確かつ患者さんの役に立つエビデンスは、口腔の専門家が集まり、all Japan、学会全体で取り組まなければ創出することはできません。今回の学会で、口腔の専門家、口腔腫瘍学会が取り組むべき課題を共有して、それに向かったアプローチを開始できればと願っています。
当初、2021年1月28〜29日に長野県軽井沢町のプリンスホテルにての開催をご案内しておりましたが、今般の新型コロナウィルス(COVID-19)感染の終息時期は不透明であり、また、秋から冬にかけての感染拡大の可能性も危惧されております。その様な状況下では、全国的な集合型による学術集会等の開催はリスクが大きく、自粛が適切であろうと判断させて頂きました。そのため第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会はオンラインによる開催とさせて頂きます。また、翌日に予定されておりました教育研修会も併せて開催いたします。皆様を軽井沢でお迎えすることができず、大変残念であるとともに、申し訳なく思っております。現在、感染拡大の懸念から社会的活動の制限を受けておりますが、医療・医学は止まることはありません。本会が口腔腫瘍の継続的な発展に少しでも役立てればと願っております。医局一同を挙げて、皆様に満足頂ける会になるよう準備して参ります。これからの口腔腫瘍を背負って立つ皆様のご参加をお待ちしております。
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